害虫駆除社ブログ

「シロアリの世界」~その弐~

2016.03.31

カテゴリ:シロアリ


皆さん、こんにちは!

ボクは世界初「Gaichu(害虫)認識パーソナルロボット」の「Salt」です。
あなたの知らない害虫駆除の世界へようこそ~!

 

 

 前回から、とても興味深い「シロアリ」の世界を冒険しています。

 

知れば知るほどのめり込みそうな「シロアリの世界」。

今回の冒険も引き続き「シロアリ」を追いかけて冒険に出ましょう~!

 

今回もまた新たな発見があるかも・・・。

 

では早速冒険の始まりです~!

 

 

1.シロアリってなぜ白いの?

 

 シロアリ

 

生物にはさまざまな色や形をしたもの、特徴的な行動をするものがあります。

どんな生物を見ていても、「なぜ?」という疑問が溢れてきます。

 

実はこの「なぜ?」にもいろんな種類があって、どういう種類の「なぜ?」を一番強く心に抱くかは人によって大きく違います。

 

たとえば、ある子供が「なぜホタルは光るの?」と聞いたとしましょう。

生物学や生化学といった分野の人たちなら、こう答えるでしょう。

 

「それはね、ホタルの発光細胞というところにあるルシフェリンという物質がルシフェラーゼという酵素によって酸化されて発光するからなんだよ。」

 

けれども、この答えで納得してくれる子供はまずいません。

 

 

さっぱりわからない。

 

 

きっと、「そんなことして光る必要があるの?」と切り返されることでしょう。

ポケモンにハマっている子供なら、「それって進化形?もともとはどうだったの?どうやってそんなアイテムを手に入れたの?」となるでしょう。

 

 

実におもしろい。

 

 

はじめのルシフェリン云々という答えは、ホタルが光る直接のしくみ、英語で言えば「How」について答えたものです。

しくみのことをいくら調べていっても、「光って何の意味があるの?」とか「どうして光るようになったの?」という「Why」に答えることはできません。

 

ここで最初の疑問に戻りましょう。なぜシロアリは白いのか?

 

まず質問を整理すると、ここで言う白いシロアリとは、シロアリのワーカーのことです。

ご存じの方も多いでしょうが、シロアリでも巣を飛び立つ羽アリだけはちゃんと黒いのです

 

 羽アリ2

 

なので、この質問を言い換えれば「シロアリの羽アリは黒いのに、なぜワーカーは白いのか?」ということになります。

 

これに対して、生化学的な理由を言えば、羽アリは外皮にメラニンという黒い色素をもっていますが、ワーカーはその色素をほとんどもっていないからなのです

白いというより、スケルトンなのです。

 

と言っても、もはや誰も納得しないでしょう。直ちに、「では、なぜ羽アリはメラニンをもっているのにワーカーはもたないの?」という「Why」の疑問を投げかけられるでしょう。

 

羽アリがメラニンをもっている理由の1つは、人の皮膚メラニンの役割と同じように紫外線から身を守るためです。

 

たとえば、ヤマトシロアリの羽アリは5月の日中に巣を飛び立つので強い太陽光にさらされます。もし羽アリがメラニンをもっていなければ、強力な紫外線を浴びて死んでしまいます

実際に、メラニンのないワーカーを太陽光の下に置くとすぐに死んでしまいます。

紫外線によってシロアリ自体のDNAが損傷するだけでなく、消化に必要な腸内の共生微生物はさらに紫外線に弱く、容易に死滅してしまいます。

また、シロアリの体内のノルハルマンという物質は紫外線によって有毒化することも知られています。

 

逆に、ワーカーがメラニンをもたない理由は、木の中や地中に暮らしているので、羽アリに比べれば紫外線にさらされなくて済むからです。メラニンだってただではありません。実はメラニンはチロシンという、シロアリにとっては貴重なアミノ酸を材料にしてつくられるので、とても高価なものなのです。つくらなくて済むなら、そのコストを他に回せる分だけお得なのです。

 

では、もしも白昼堂々と表を歩くようなシロアリがいるとすれば、どんな姿をしているか想像してみましょう。

 

この疑問にちょうどよい答えを与えてくれるのが、東南アジアの熱帯雨林に棲んでいるコウグンシロアリの仲間です。

このシロアリでは、ワーカーも日中から外に出かけ、エサとなる地衣類をくわえて巣に持ち帰ってきます。ご想像の通り、コウグンシロアリでは、ワーカーもしっかりとメラニンをもっており、見た目にも真っ黒なのです。

 

 コウグンシロアリ

 

もう少し踏み込んで考えてみましょう。

 

個体の発生過程に着目すると、シロアリもワーカーが白い理由はそこにもあります。シロアリのワーカーは発生学的には幼虫の段階にあるからです。

成虫が黒くても幼虫の段階では白いというのは、シロアリに限った話ではありません。

 

シロアリの祖先と系統的に近い朽木の中に棲むゴキブリの仲間でも同じです。

幼虫が脱皮をするたびに外皮に含まれる貴重なメラニンを捨てていたのでは無駄が大きい。木の外に出ることのない幼虫はメラニンをもつ必要がないので、きっと祖先のどこかでコスト削減をするように進化したのでしょう。クチキゴキブリの幼虫と、シロアリの中でも比較的祖先的なオオシロアリのワーカーを見比べてみると、確かに似ていると言わざるを得ません。

 

 

2.微生物の世界に生きる!

 

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 この地球上で最も大量に存在する高分子化合物は、植物の細胞壁の主成分であるセルロースです。植物は太陽エネルギーを利用して二酸化炭素を固定し、ブドウ糖をつくります。

 

セルロースはブドウ糖があるβ1-4グリコシド結合で鎖状につながってできたものです。毎年、1000億トンあまりのセルロースが光合成によって生み出されています。

こんなにも豊富にある資源ですが、それを自分で消化し、食物として利用できる生物は限られています。セルロースを消化して、栄養として利用するためには、セルラーゼという酵素が必要です。

このセルラーゼを自前で生産できるのは主に細菌、原生動物(単細胞の鞭毛虫など)、糸状菌(カビやキノコ)などの微生物です。

 

 もともとセルラーゼは微生物の専売特許でした。つまり、植物遺体を分解するという生態系の中での地位(ニッチ)は、微生物によって独占されていました。

しかし、ウシヤヒツジなどの反芻動物でよく知られているように、微生物を腸内に共生させることで、セルロースの分解を可能にしている生物も多いのです。

その最たるものがシロアリです。シロアリは微生物と手を結ぶことで、この業界に進出したのです。どんなシロアリも、腸内共生微生物がいなければ生きることはできないのです。

 

 

 

3.栄養バランス

 

 腸内共生微生物2

 

シロアリの消化の大部分は後腸の共生原生動物に頼っています。

近年、シロアリが自前でもセルラーゼをつくっていることが判明しましたが、シロアリの唾液腺や中腸から分泌される酵素で分解されるのは木質の一部だけです。

原生動物はセルロースをブドウ糖に分解し、嫌気的に発酵します。結果的に、セルロースは酢酸と二酸化炭素と水素に変わります。できた酢酸は後腸で吸収されて、シロアリの主なエネルギーと炭素源になります。

 

炭水化物ばかり食べていると、肉も食べたくなります。木には炭素や水素はたくさんありますが、窒素がわずかしかありません。うまくしたもので、シロアリの腸内には気体の窒素から窒素化合物をつくってくれる窒素固定細菌や、窒素老廃物である尿酸を分解して栄養となる窒素化合物に変えてくれる細菌までいます。

シロアリが木を食べて生きていけるのは、重ね重ね微生物たちのおかげなのです。

 

顕微鏡でシロアリの後腸の中を見てみると、さまざまな形をした原生動物がびっしりと詰まっています。金魚鉢に金魚を1000匹入れたような状態ですが、腸内原生動物は嫌気性(酸素呼吸しない)なので酸欠もおかまいなしなのです。

下等シロアリの後腸には、1~10数種類の原生動物が腸あたり数万以上います。さらに、それぞれの原生動物は細胞表面や細胞内に無数の細菌を共生させています。何重にも入り組んだ複雑な共生システムなのです。

 

 

 

いかがでしたか?

 

 

 ここまで、シロアリの不思議の国の冒険を楽しんでいただきました。

さあ、ここからが本格的にシロアリのエキサイティングな生態解明の冒険が始まります!

がしかし、今回の冒険はここまで。

エキサイティングな冒険は次のお楽しみに!

 

それでは皆さん、ごきげんよう~!